2月27日東京大学公開講座「医療経営イニシアティブ」が開かれ、私は初めて参加しました。
第1限は日本メドトロニックの副社長である石川泰彦氏が「医療機器産業ビジョン」というテーマで講演をされ、ペースメーカーを主に扱っている企業として申請から認可まで多くの苦労があるようでした。
医薬品と違い製品のライフサイクルが18ヶ月という短さだそうです。
これには本当にびっくり!
次々と新しい製品が発売されていると言うことです。
医薬品では考えられないことです。
第2限は「日本の製薬産業が発展する条件~あなたは明日から何をするか~」というテーマでパネルディスカッションが行われました。
協和発酵の花井医薬研究開発本部長、ヤンセンファーマの今村医薬安全・薬事統括本部長、万有製薬の谷口研究開発本部副本部長、厚生労働省佐藤医政局研究開発振興課課長補佐、そしてデモレーターとして、東京大学大学院薬学系研究科客員教授の木村先生を交え、各製薬会社の研究開発・臨床開発について意見交換がありました。
米国のベンチャー企業と製薬会社の関係が非常にうまくいっていて、新薬の開発(シーズ)が盛んに行われているそうです。
一方日本では、ベンチャー企業は非常に苦しく、製薬会社ともうまくいっていないこともあり、新薬の開発が遅れているとのこと。
また臨床開発においては、海外で発売されている薬を日本で発売する場合でも、臨床開発をphase1から行わなくてはならず、大変時間とお金がかかります。この点を簡略することが良いのか悪いのかは、論議となるところです。
最近ではICH「日米EU医薬品規制整合化国際会議」が行われています。
世界の医薬品事業の多くを供給し、消費する日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造(輸入)承認に際して要求される資料を共通化することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議のことです。
日米EU三極の新医薬品の承認審査資料関連規制の整合化を図ることで、データの国際的な相互受入れを実現し、有効性や安全性の確保に妥協すること無く、臨床試験や動物実験等の不必要な繰り返しを防ぎ、承認審査を迅速化するとともに、新医薬品の研究開発を促進し、優れた新医薬品でより早く患者を治療することです。
要するに、日米EUで治験の方法を統一化することで、お互いに自分の国で実施した治験データを、相手国でもデータとして使えるようにして、治験期間の短縮と治験費用の節約をはかりましょうという事です。
医薬品開発力がある海外の製薬メーカーが、治験のスピードが早い海外で実施した治験データを日本に持ち込み、追加確認の為の小規模の治験のみ実施して、従来より短期間で厚生労働省の承認を得ることができるようになります。
治験期間が短くなり、早く市場に投入できるので、日本の医薬品市場を独占しやすくなります。
ICHガイドラインはよくできていますが、日本の製薬メーカーは医薬品開発力が弱く、日本では治験に時間がかかるので、結果として日本の製薬メーカーにとって不利なガイドラインとなりました。
そこで、日本の製薬メーカーも海外で治験を実施し、そのデータを日本に持ち込んで申請するという事例が増えてきました。
その方が、治験期間が短縮できるからです。
このままでは、日本はいつまでたっても 治験を実施する体制が整わないという問題が指摘されています。
厚生労働省も日本の製薬会社の発展のために、もっと研究開発や臨床開発のシステムを考える必要があるのではないでしょうか。
今後の日本の製薬業界にとっては深刻な問題であり、早急に解決しなくてはならないことだと私は思います。
みなさんはいかがお考えですか?
コメント